瓦のシェア
現在建築されている戸建て住宅の約半分の50%は瓦屋根です。
これはフラット35(旧住宅金融公庫)のデータを元にしています。瓦は阪神淡路大震災の際に瓦の利用率がさがりましたが、2002年にアスベスト屋根が禁止されてまた瓦が見直されました。
陶器瓦の種類
屋根に使われる機会の多い陶器瓦は耐久性が高く、屋根材のなかでは最も長くつかえる屋根材として評価されています。
人によっては、色が限られているようなイメージがあるかもしれません。
しかし、実は色のバリエーションが多いのも特徴です。
陶器瓦といぶし瓦の違い
陶器瓦といぶし瓦はいずれも土が主成分の粘土瓦に分類されます。陶器瓦(釉薬で色をつける)
粘土瓦は、粘土を瓦の形にして、高温で焼き上げて作ったものです。
その中で、焼き上げる前に釉薬(ゆうやく、うわぐすり)をかけて、色を出すものが陶器瓦で、様々な色合いが出せ、変色もほとんどありません。いぶし瓦(いぶして色をつける)
一方、いぶし瓦は、釉薬を使わずに、瓦の焼き上げの最後にいぶして、色を出すことから、いぶし瓦と呼ばれています。
いぶし瓦はネズミ色と銀色の中間のような色で、時間が経つと色ムラが出ますが、それが建物の“味”にもなります。
J型・F型・S型の違い
陶器瓦には、J型(和型)、F型(平板型)、S型(スパニッシュ型)の3つの種類があります。J型(和型)の陶器瓦
J型(和型)は昔ながらの瓦で、古い家屋の屋根でよく見られる形です。
JAPANの頭文字を取って、J型と呼ばれています。
F型(平板型)は平らな板のような凹凸のない瓦で、和風住宅だけではなく、洋風住宅にも使われています。
Flatの頭文字を取ってF型になったという説と、フランス瓦を参考にしたのでF型になったという説があります。
F型にもいくつか種類があるので、住宅の雰囲気に合わせて、選ぶといいでしょう。
S型(スパニッシュ型)はSpanishのSから名前がついた瓦で、スペイン瓦を日本の風土や住宅のデザインに合わせて改良したものです。
凹凸がある屋根で、洋風住宅に使われることが多いです。
軽量防災瓦について
陶器瓦で最近注目されている瓦が、軽量防災瓦です。
軽量防災瓦は従来の瓦よりも重さが(少しだけ)軽く、台風や地震に強い作りの瓦として宣伝されています。
最近の新築住宅で仕上げらている陶器瓦の大多数が軽量防災瓦です。
なかでも軽量防災瓦のF型は和風住宅にも洋風住宅にも合うため、人気です。
陶器瓦の耐用年数
陶器瓦はメーカーや種類にもよりますが、いぶし瓦で40年程度、それ以外は60年~100年とみなされることが多いです。
しばしば瓦が半永久的に使える、メンテナンスの手間が不要と言われるのは、そのような耐用年数の長さが背景としてあげられます。
ただし、かなり大きな台風や地震時では、他の屋根材よりは「ずれ」や「めくれ」などの部分的な不具合が生じやすい傾向があります。
そのため、部分的な修繕が求められることが多いです。
セメント瓦の種類と名称
セメント瓦は現在は販売されていない屋根材です。
その一方で、そろそメンテナンスが必要な時期に来ているセメント瓦葺きの住宅が増えています。
セメント瓦とは
セメント瓦(モニエル瓦)
セメント瓦はセメントを主成分とした屋根瓦のことです。
見た目を自由に成型できるため、陶器瓦と区別がつきにくく似ています。
しかし、陶器瓦とは違い、年数が経つと色あせが発生します。
セメント瓦の一部にはアスベストが使われているため、葺き替え時にアスベスト処分料金が追加でかかってしまいます。
セメント瓦とモニエル瓦とコンクリート瓦の違い
セメント瓦やコンクリート瓦、モニエル瓦はほぼ性質や耐久性、形は同じものとして理解いただいて問題ありません。(アスベストの有無を除く)
セメント瓦はセメントが主成分ですが、コンクリート瓦はモルタルを主成分としています。
一方、モニエル瓦は日本モニエルという外資系企業と取り扱っていたセメント瓦のことを言います。
これらの瓦は現在作られておらず、入手が困難です。
そのため、部分的に新しい瓦に交換することができません。
セメント瓦の耐用年数
セメント瓦の耐用年数はメーカーや種類にもよります。
一般的には陶器瓦よりも割れやすいとされており、耐久性は30年~40年程度と評価されています。
ただし、テイガク屋根修理の感覚では40年~50年程度の耐久性は期待できると評価しています。
テイガク屋根修理の経験上、そこまで陶器瓦とセメント瓦の耐久性は変わらないと思っています。
樹脂セメント瓦
ルーガ(セメント系瓦)
新しいタイプのセメント系の瓦として、ケイミュー株式会社が取り扱うルーガという商品があります。
ルーガは樹脂とセメントによるハイブリットタイプの屋根材で、2007年に販売が開始されました。
一般名称は樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦で、樹脂セメント瓦、樹脂繊維セメント瓦と呼ばれることもあります。
ルーガは販売から10年以上が経過し、専門家からも高い評価を得ています。
見た目も陶器瓦と違いが分からないほど、よくできています。
樹脂繊維セメント瓦の特徴
樹脂繊維セメント瓦のメリットは、大きく2つあります。
最初は耐震性が高い点です。
樹脂繊維セメント瓦は陶器瓦と厚さは同じですが、重量は半分です。
そのため、従来の陶器瓦にくらべて地震時の揺れが少なく、耐震性を高めることができます。
2つ目の特徴は割れにくく丈夫な点です。
瓦に含まれている繊維材料は補強材の役割があります。
樹脂繊維セメント瓦の耐用年数
ルーガの期待対応年数は、メーカーのカタログを見ると30年を目安としています。
30年という数字はケイミューがほぼ独占して販売しているスレート(コロニアル)と変わりません。
2007年の発売であるため、30年維持できるかの実績と評価がないことが理由としてあげられます。
しかし、ルーガはケイミューが販売しているスレート(コロニアル)よりもはるかに厚みがあり、繊維を含ませて補強している屋根材です。
スレートと同等以上の耐用年数は期待できるとテイガク屋根修理は評価しています。
さいごに
今回は瓦について解説しました。
瓦は厳かな風合いがあり、伝統的な日本の住宅には欠かせない屋根材です。
その瓦も日進月歩、進化しています。
ルーガなどの軽くて丈夫なユニークな瓦も登場しています。
施工方法もガイドライン工法とよばれる耐震や耐風性能を考えた新しい工法も生み出されています。
良質な瓦屋根の工事をおこなうには「瓦屋根の素材」と「施工方法」、特にこの2つに注目してください。